2017年7月17日月曜日

愛機Света、死す。

 私は友人だと思っていたものを一つ、失ってしまった。全てを語ると長くなるから、事の一部だけを諸君らにはお伝えしようと思う。

 ある冬の日の事だった。愛機Светаの電源を入れ、イヤホンジャックにイヤホンを挿入して、音楽を聴き始めたその瞬間だった。一瞬だけ右耳からの音が途切れたのだ。私はイヤホンの断線だと思い少しの間そのままで音楽を聴いていたのだが、その日はそれ以上何もなかった。
 数日後、鞄やポケットの中に入れていると頻繁に音が途切れるようになり、遂にどこかが故障したと確信した。イヤホン自体は他の機器で使っても断線しているようには思えなかったし、明らかにジャック部分に対してある方向に向けて力をかけた時に音が途切れるようだった。しかしこの時点で既に8年近い付き合いであり、簡単に手放すとは思わなかったし、修理にも出そうとしなかった。

 結局、audio-technicaのAT-PHA31iを購入して、DOCKコネクタと呼ばれる30ピンコネクタから信号を取り出し音楽を聴いていたのだ。
 しかしその安息も束の間、このAT-PHA31iはケーブルが弱かった。半年ほどして遂にケーブルが断線し、ついに私は最終手段に出た。

 そう、Светаの解剖である。初日は家ではない所でまず分解だけと思い敢行した。+-の精密ドライバ6本のみで行われた分解によって僅かにパッキンを破壊してしまったが、他の部品には全く損傷を与えなかった。我ながら見事だったと思う。そこで見てみると、確かにジャックの5つあるランドのうち1つが剥がれかかっていた。本体から一番遠い場所だったので、確かに引っ張れば外れるなと感じた。

 そこで私は交換用のジャックを購入し(在庫は最後の1つだった)、家で交換作業へと取り掛かったのである。

封筒から取り出された交換用パーツ。

左:取り出した純正ジャック
右:届いた交換用ジャック

 こうして私は外科医よろしく移植手術に臨んだわけである。その顛末を画像とともに簡単に見ていこう。

愛機Света。10年選手である。中々の年季だ。


タッチパネルを剥がした。

 このLCDを持ち上げ、下のネジをいくつか外せばバッテリーと例のジャックとご対面となった。

上がLCD裏面のバッテリ、画面右側の端にあるのがジャック。

ピンぼけしているが、ここだ。

 これの半田を外し、新しいジャックを取り付けた訳だが、ここで予想だにしない大事件が起こった。私自身非常に不覚だと思うが、ジャックとこのシート部分は思っている以上に間隔が狭く、半田をつけるにはシートを押し込みながらつけるか、半田をつけてからジャックを捩じ込まなければならないが、ここでお気づきの方もいるだろう。私は後者の手法を取ったので、結局一番手前の部分がランドごと剥がれてしまった。
 いかんせんこの複雑な両面基板を追う気力もなく、いくらかの応急処理も施したが結局は失敗であった。結果としてイヤホンを差しても本体スピーカーとイヤホンから音が出る結果になってしまい、それもイヤホン側は音量に制限がかかっていないので爆音という使い物にならないポンコツと化してしまった。

 そう、最後は私の手で愛機Светаのイヤホンジャックへと止めを刺してしまったのである。この後私はID30PS→E10Kという構成で少しの間音楽を聴いていたのだが、E10Kの低音量時の左右のバランスの偏りに堪え切れず、オーディオアッテネータを自作するに至ったわけである(この記事は後日書く)。しかし煩雑なこのシステムにもすぐ嫌気が差し、結局私はСветаを引退させることを決意した。10年もの間私へと様々な体験や発見を与えてくれた彼女に対して、追悼の意を示したい。
 Света、つまりСветланаは私の個人サークルの名前であるКафе Светланаの名前の元にもなっている。愛着はあったのだが、現在彼女に代わって仕事をしているのはPioneerのXDP-300Rである。これで手元にある携帯端末とDAPは比較的最新のものになった。

 さらば、我が旧友。

0 件のコメント:

コメントを投稿